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責任転質の法的性質 [司法書士試験]

民法第348条(転質)
 質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について
 転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損
 失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。

責任転質の法的性質については、主に下記二つの学説が主張されている。

①質物再度質入説(判例・通説)
  責任転質とは、質権者が、自己の債務の担保のために、質物上に新たに
  質権を設定する(質物を再度質入れする)ことである。
  
   Ⅰ 設定
      転質権設定契約+目的物の転質権者への引渡し
 
   Ⅱ 対抗要件
      転質を原質権によって把握した担保価値の質入れと解し、転質権
      設定者から現質権設定者への通知またはその者の承諾を要する。

   Ⅲ 効果
      直接取立権の行使は不可

②債権・質物共同質入説
  責任転質とは、質権者が、その質権とともに被担保債権も質入れすることで
  ある。

   Ⅰ 設定
      転質権設定契約+目的物の転質権者への引渡し
 
   Ⅱ 対抗要件
      被担保債権の質入れについての対抗要件として、転質権設定者から
      現質権設定者への通知またはその者の承諾も要する。

   Ⅲ 効果
      直接取立権の行使は可能

 両説共通の効果
  ・転質したことによって生じた損失については、たとえそれが不可抗力によるもので
   あっても、原質権者は原質権設定者に対して責任を負う。
  ・原質権者は、質入れした原質権を消滅させてはならないという拘束を受け、原質権
   の実行・放棄や被担保債権の免除・取立て・弁済の受領・相殺をすることができな
   い。
  ・原質権の被担保債権額が転質権の被担保債権額を超過する場合、その超過部分
   に対して、転質権の効力が及ぶ。


 過去問出題歴は、H3-17でまる一問を責任転質の推論問題としている。H13-10に
 類題として、転抵当に被担保債権をも担保にするか否かという問題が出題されている。
 なお、H20は不動産質権が抵当権との比較でまる一問出題された。

 どうしても抵当権に目がいきがちなため、抵当権と比較すると少し手薄になりがちです。
 択一で確実に得点するためには、条文をしっかり抑えるとともにこうした学説問題も
 定期的にこなしていく必要性を改めて感じました。(どの分野も同じか。。。) 





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