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衆議院の解散 [司法書士試験]

わたしが政治の話題を取り上げる場合は、主観・独断・偏見でだいたい自公政権についての
政治的批判です。今回は法律家を目指すものとして、法的な観点で、解散について記述したいと
思います。とは言っても司法書士の憲法の勉強の延長線上の話題で、過去に議論し尽くされた、
司法試験受験生にとっては、あたりまえの論点を紹介するだけです。

解散で盛り上がったのは1ヶ月ほど前で、すでに解散されてしまった今日では、総選挙の勝敗が
焦点となっており、少し機を逸した観もありますが、そこはお許しを。

1ヶ月ほどまえには、東京都議選の自民党大敗北を受けて麻生総理が衆議院の解散を決断し
反麻生勢力との激しい攻防が行われておりました。「総理の解散権」とマスコミも普通に言って
おりましたが、日本国憲法には内閣総理大臣が「任意に衆議院を解散できる」とはどこにも
書いていません。

憲法の「解散」についての記載は下記の条文です。

7条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
  (略)
   三 衆議院を解散すること。
  (略)

69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日
    以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

衆議院を解散できるのは、天皇陛下です。ただ、天皇が国事行為を行うためには内閣の助言と
承認が必要です。だから、衆議院の解散の実質的決定権は「内閣」にあります。内閣総理大臣は
内閣の首長たる大臣であるため、衆議院の解散を決定するのは内閣総理大臣ということに
なります。現在では、この解釈が慣行化し定着しています。

内閣に衆議院の解散の実質的解散権があるという立場には、65条、権力分立制、議院内閣制に
その根拠を求める説もあります。69条の場合にのみ衆議院を解散することができるという説も
あります。内閣だけでなく、衆議院も自律的に解散することができるという説もあります。

憲法が公布されて間もない頃は、「解散権」について活発な議論が行われたようですが
現在は、前述のとおり根拠条文を7条とし、内閣総理大臣の「任意の解散権」というものが
慣行化し、定着しています。このため、マスコミも特に注釈することもなく、「総理の解散権」と
いう言葉を使用しています。わかりやすいですし、今頃こんな議論蒸し返してもKYなだけでしょうし
しょうがないんでしょうね。






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